選挙ポスターを公費負担で無料にできる【地方議員】

税金

「選挙ポスターは税金で0円になる」
「選挙ポスターで儲けることができる」

こう聞いて、みなさんはどう思いますか?

「選挙は金がかかる」とよく聞きますが、その逆のことですよね。
でも、選挙ポスターをタダで作成するのは簡単なことなのです。
また、選挙ポスターで儲けることもやろうと思えばできるのです。

この記事では、そのカラクリというか、仕組みを具体例とともに説明していきます。

選挙ポスターがタダになる理由

選挙ポスターは、選挙運動費用の公費負担制度でタダになります。
負担の上限はありますが、その上限内であればタダです。

タダになる理由は、立候補者の金銭的負担を減らすためです。
金持ち以外も選挙に出ることができるようにしている、ということです。

しかし、選挙に出ることと勝つことは違います。
勝つためには、お金が必要であるのは現実でしょう。

「選挙ポスターが公費負担でタダになる」と書いていますが、これには条件があります。
供託金没収点(ライン)以上の票を得ることが必須です。

供託金没収点未満の得票の場合、選挙ポスター代含めて選挙にかかった費用はすべて自己負担となります。

ただ、地方議会選挙においては、供託金没収になることが普通はありません。

なお、ポスター作成費用は、公費として候補者に支払われるのではなく、印刷業者等が市選挙管理委員会へ届出請求する仕組みになっています。
つまり、候補者に直接支払われるのではなく、印刷業者経由で返金されます。

公費による負担の限度額

公職選挙法110条の4に規定されていますが、見なくていいです。
法律の専門家以外には優しくない文章ですので。

法律の内容を以下にまとめました。

ポスター
掲示場数
上限枚数
(A)
上限単価
(B)
限度額
500以下 掲示場数×[?] ( 525.6円×掲示場数+310,500円 )÷ 掲示場数 (A×B)
501以上 掲示場数×[?] { 27.5円×(掲示場数-500)+573,030円 }÷掲示場数 (A×B)

[?]は条例に定めがあります。
範囲は、1~2です。

ポスター掲示板数によって、上限単価の算出方法が異なります。

芦屋市の例

芦屋市議会議員選挙(2019年4月21日)における選挙公営(公費負担)の手引きを参考にします。

上限枚数はポスター掲示板数と同じです。掲示板数×1ということですね。
単価2,568円で152枚の選挙ポスターを作成すれば、自己負担なしの0円となります。
最大で390,336円が公費負担です。

相模原市の例

相模原市議会議員選挙(2019年4月7日)における公費負担のしおりを参考にします。

政令指定都市は区毎に算出方法がありますね。
上限枚数はポスター掲示板数と同じです。
芦屋市と同様に、掲示板数×1となります。

かすみがうら市の例

かすみがうら市議会議員選挙(2019年1月20日)は、市のウェブサイトを参考にします。

上限枚数はポスター掲示板数と異なります。
掲示板数×1.1です。この1.1という数字は各自治体毎に条例で定められています。

牧之原市の例

牧之原市議会議員選挙(2017年10月22日)は、市のウェブサイトを参考にします。

牧之原市は、少々特殊です。
同じページ上に次のように記載されています。

「公職選挙法で設定される法定限度額よりも低い限度額を設定している」というアピールです。
あくまで公職選挙法で設定されるのは法で定める上限であり、それより低い限度額であれば自治体で定めるのは自由ということですね。

選挙ポスターの公費負担の問題

ここまで読んできて、勘の鋭い方なら「おや?」と思うところがあると思います。

「ポスター作成を自分の会社や知人の会社に頼めば儲かるんじゃね?」

はい、そう思いますよね。
実際、選挙ポスター絡みでの問題は多いようです。

調べればすぐに出てきます。
それほどに問題が生じやすいということでしょう。

こんなザルの制度自体を放置しているのが、問題だと思います。
聖人君子でなければ、水増し請求をするのでは?
合法であるわけなので。

制度が維持され続ける以上、必ず水増し問題は起こるでしょう。
だから、選挙ポスター公費負担に関して、候補者の批判を行うことはナンセンス。

まとめ

選挙ポスターに関して説明をしてきました。

選挙ポスターをタダで作成する方法を理解できたと思います。
さらには、選挙を利用して儲ける可能性すら把握できたと思います。

しかし、そもそも論として、令和の時代に選挙ポスターなんて必要でしょうか?
「ネットで十分」と思う方もいるでしょう。

でも、まだまだ必要な世代がいるのです。

選挙に行く半数は、60歳以上です。
60歳ならネットを使う人もそれなりにいるでしょう。
しかし、70歳以上となれば、なかなかネットは難しいです。

だからこそ、買い物や通院の途中にある選挙ポスター掲示板が必要なのです。
あと、10年ほどすれば、また状況は変わっているでしょう。

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